東大和助産院ブログ

中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定

日本政策金融公庫の調査によると、中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定していることが分った。調査結果の主要3点は以下の通り。


1. 廃業予定企業は半数を占める
後継者の決定状況等をもとに中小企業を「決定企業」(後継者が決まっており、後継者本人も承諾している企業)、「未定企業」(事業承継の意向はあるが、後継者が決まっていない企業)、「廃業予定企業」(自分の代で事業をやめるつもりの企業)、「時期尚早企業」(自分がまだ若いので、後継者を今は決める必要がない企業)に分類すると、決定企業は 12.4%にすぎず、未定企業は 21.8%、廃業予定企業は 50.0%を占める。


2. 廃業予定企業は金融機関からの借入残高がないなど、廃業を容易に決断できる
廃業予定企業の多くは、従業員が少ない、金融機関からの借り入れがない、業績や将来の見通しが暗いなど、廃業することを容易に決断できる環境にある。経営者の廃業予定年齢は平均 71.1 歳であり、経営者の加齢とともに緩やかな速度で市場から退出するものと思われる。


3. 未定企業は親族への事業承継以外に選択肢を広げている
未定企業には、親族以外(従業員や社外の人など)への事業承継や、企業の売却など、親族への事業承継以外に選択肢を広げている企業が少なくない。そのような選択肢を実現できるような支援策が求められる。

事業継承入門

事業承継とは
事業承継とは、会社の相続です。一般の相続と異なるのは、自社株式や事業用資産などの目に見える財産の承継だけでなく、人材・技術・技能・経営ノウハウ・経営理念などの目に見えにくい財産の承継も大変重要であるということです。
事業承継と聞くと自社株式や事業用資産などの目に見える財産をいかに目減りさせずに後継者に残すかが最も重要であるかと思われがちですが、会社の経営を支えてきた人材・技術・技能・経営ノウハウ・経営理念などの目に見えにくい財産をいかに後継者に伝えていくかが最も重要であると私は思います。(もちろん目に見える財産の承継対策も重要ですが)

事業承継の現状
我が国の中小企業の割合は約99%とほとんどの企業が中小企業となっています。そして、経営者の平均年齢は59.06歳(2010年帝国データバンク)と、ここ20年間で7歳近く上昇しており、中小企業経営者の高齢化が進行しています。
あるデータによると、経営者が引退しようと考える平均年齢は約67歳だそうです。つまり平均から見れば、あと約8年間は事業承継まで猶予があると言えそうですが、事業承継対策としての準備期間は8年間では十分とは言えないことも多々あります。
自社株式や事業用資産など、いわゆる目に見える財産の承継対策だけを考えれば十分な期間であるとは思いますが、技能・技術・経営ノウハウなどの目に見えない財産の承継対策、後継者育成計画などを考慮すると十分な承継対策を行うには10年は必要となってくるでしょう。
事業承継の目的は、現在の会社の強み、業績を維持しながらいかにスムーズに後継者に経営のバトンタッチをするかということです。そのためには、「うちはまだ大丈夫!縁起でもないこと言うな!」などと言わずに、なるべく早く経営者が真剣に引退後を想定した承継計画を練る必要があります。
事業承継は早めの対策が成功のカギです。